黒猫翁の言いたい砲弾

新聞やテレビを賑わしていることについて思ったことを書いていくページです。公開の備忘録?ですかねw

橋下市長のラスト演説を文字起こししました

  5月16日、なんば高島屋前で行われた最後の演説です。「今、負けています」という訴えはこれまでの市長の広報活動の中で何度となく繰り返していましたし、また、フライイング敗北宣言については結局行われませんでした。二匹目のどじょうは虫が良すぎると思ったか、あるいは藤井氏のサイトやネット上であれこれ取沙汰されていたため、むしろやったら逆効果だと判断したのかもしれません。
 政治家をやめるという件(くだり)は私の予測が当たりました。ちなみに「やめないでー」という女性支持者の声を入れたところは見事的中です。

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 明日どうなるかですよ。僕は納税者をなめた役所や議会、色んな各種団体、業界団体、既得権といわれている人達、納税者をなめたら全部つぶされるよってことを明日示したいと思いますね(拍手)。汗水流して働いて納税をして、そのお金が天下り団体や職員の給料に消えて・・・皆さん、これ知らなかったらね、バカみたいですよコレ。そんなこと許しちゃいけないんですよ。許しちゃいけない(拍手)。納税者の税金はね納税者のために使うなんて当たり前のことなんです。日本の政治はね、納税者をなめすぎ。特定の団体、特定の有力者、特定の業界団体、そんなところから票をもらって見返りで色んな補助金を打つ。そんな政治はほんとに腐ってると思いますよ(拍手)。どうか皆さん、そのためにもね、明日大阪都構想住民投票で何とか勝たせてくださいよ。そうしましたら大阪府庁大阪市役所、大阪市議会、それにへばりついてる、色んな税金を食らっている――そんな団体を一回きれいさっぱりに全部壊して、ほんとに納税者のためになる、新しい大阪の新しい大阪の政府を作っていきますよ、皆さん。今度は維新の党、国会議員いますから、火の玉となってね、既得権益層に切り込んでもらって、皆さんの納税者の税金を取り戻すことを維新の党でしっかりやります。
 その代わり明日負けたら、まぁホントだったらコレ、ボク死ななきゃいけないんでしょうけど、まぁ民主主義の国ですからね。まぁコレはまぁ、政治家やめるっていうところで許してもらいたいと思うんですが(辞めないでーの大合唱)。まぁでもね、ホントだったらね、いくさだったらお前死ねよといわれるんでしょうけど、そこはちょっと申し訳ありません。まぁでも、ホントにここまで皆さんのお力でホントにここまでやらさしてもらったことは政治家冥利に尽きます。何の組織もなくお金もなく、こんな偉そうに政治家できてるのはすべて皆さんのおかげ。ホントにホントに感謝を申し上げます。ホントにありがとうございます(大拍手)。
 明日、最高の舞台を皆さんに用意して頂きましたので、納税者の皆さん、明日5月17日、大阪都構想の実現だけでなく、皆さんの税金を貪り食ってる連中を一回たたきつぶして税金を皆さんに取り戻すという、そのスタートを明日5月17日に切っていきたいと思います。ボクは大阪がホントに自ら変われると、変わることができるとボクは信じていますし、大阪市民の皆さんが大阪を変えることに動いてくださると信じています。どちらが勝つかの大いくさ、ぜひ勝利をおさめましょう。ホントに明日が大勝負、がんばりますんで、一緒に力を合わせて頑張っていきましょう。
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 内容的には既得権益を一掃するために賛成票を入れてくれ、というのが主旨ですが、理屈としてかなり変だなと感じました。府庁、市役所、議会などの腐敗に関する憤りを述べたのはいいのですが、まずそう決め付けた証拠や根拠はあるのかどうかが演説では分かりませんでした。もし嘘だとしたら関係者に対する名誉を著しく毀損していることになります。また、政令大阪市を廃止して権益の一部を大阪府庁に移すことと腐敗撲滅と一体どういう関係があるのか理解できません。仮にシロアリがいたとしても、大阪市にたかっていたシロアリが大阪府に移るだけで全体の数は変わらないはずですので。それとも大阪市にだけ利権構造が渦巻いていて、大阪府は清廉潔白だと言いたかったのでしょうか。そもそもどんな団体でもシロアリ退治には罰則強化や透明性向上など、「倫理規程」の改正などからじっくりと進めていくのが正攻法で、高々シロアリ程度でいきなり家をぶっ壊して何もかも一から建て直そうとするやり方は如何なものかと思います。

 そういえば菅官房長官が、大阪市役所の人数が多すぎると発言して維新にエールを送ったことがありましたが、あれも市役所にお勤めの人を悪者に仕立て上げて市民の憎しみを駆り立てる、質の悪い同様の手法でしょう。あまり知られていませんが、住民票を持つ人数当たりの職員数で自治体間を比較してもあまり意味がありません。問題は昼間人口の多さだからです。特に市電やバス、水道施設の運営などに従事する現業職員の業務量は昼間人口にもろに影響してきます。大阪市は昼間に人が満ち溢れる町ですので、より多くの職員が必要なのは当たり前の話で、大阪市役所で地道に働いている大多数の職員さんを不当におとしめては可哀想だと思います。(ちなみに横浜市のようにアウトソーシングを増やせば大阪市の職員数ももっと減るでしょう。)

 それからもう一つ。「明日負けたら、民主国家なので死にはしないが政治家をやめるってとこで許してもらいたい」というくだりですが、予想していたとはいえ、やはり首を傾げてしまいました。政治家というのは自分が進めた政策が失敗したら腹を切るくらいの覚悟が必要だと思います。なぜなら過去の経済政策を見てもわかるように、政策パワーというのはとてつもなく大きいもので、一般の庶民の生活を破滅させ自殺に追いやったり現実に命を奪うことになりかねないからです。橋下市長がいうように反対派の話はすべて「デマ」で、大阪都構想にこれほどの自信を持っているのであれば、続けてこういうべきでした――。
もし大阪都構想をやって大阪市民がひとりでも不幸になることがあったら、ボクはいつでも命を絶つ!
 この覚悟があって初めて、人の命を左右する政策を推し進める資格を市民から認めてもらえるのではないでしょうか。

 

 以上、橋下市長ラスト演説と私なりの感想をつらつらと書いてみました。5月17日の投票が大阪市民の方々にとって「おトク」な結果となりますよう、心から祈念いたします。(黒猫翁)